12月のカレンダー

ともかくも あなたまかせの 年の暮れ

広島県三原市 徳正寺 徳正 俊平
この句は念仏者としても知られる俳人・小林一茶のものです。この「あなた」とは、阿弥陀さまのことを指しています。
この句を詠んだ年、一茶は最愛の娘・さとを急な病で失っています。大事な娘を見送り、「露の世は露の世ながらさりながら」と如何ともしがたい心中を詠っています。そんな悲しさや寂しさいっぱいの中で迎えたこの年の暮れに詠んだのが、冒頭の一句でした。
「ともかくも」このたった一言に、一茶が抱えた思いのすべてが込められているように思います。想像の域は超えませんが、私も子どもを持つ親として、身につまされる思いがします。一茶の人生はこれだけではありません。妻・菊との間に三男一女、計4人の子どもを授かりましたが、みな2歳を迎えることなく先立っていきました。一茶自身も脳卒中に襲われ、なんとか回復するものの、続くように妻の菊もまた病に倒れ、息を引き取るのです。子どもと奥さんを相次いで送った次の正月、一茶は「もともとの 一人前ぞ 雑煮膳」と、寂しさを詠ったのでした。
そんな厳しいご縁の中にありながらも、浄土真宗の門徒の家に生まれ、念仏者であった一茶の人生の根底には、いつも「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」とお念仏の声が響いていたのでしょう。いつだって阿弥陀さまの「いつもわたしが一緒におるぞ」「あなたのいのちも、あなたの大事な人のいのちも、みなこの阿弥陀が抱えましたよ。間違わさんぞ。間違わさんぞ」と絶えず喚んでくださる声を、お念仏から聞いていたのでしょう。
ご法義に出遇ったからといって、私の人生でつらいことや悲しいことが起こらなくなる、そんな教えではありません。むしろ、阿弥陀さまは「いつどこでどんなご縁にあうかわからないんだよ」とおっしゃいます。それだけを聞かされるなら、絶望でしかありませんが、「だからこそ、いつどこでどんなご縁にあおうとも、大丈夫な仏がここにおるぞ」とお念仏があってくださるのです。この先も私の人生に何がやってくるかはわかりません。しかし、何がやってこようとも「あなたまかせ」の人生であるとお聞かせいただきましょう。
広島県三原市 徳正寺 徳正 俊平