亡き息子への母の思い 9月6日

釋一心のひとこと

2019年7月18日に京都府京都市伏見区で36人が死亡し32人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件。被害者の中に赤穂市出身のアニメ監督 武本康弘さん(享年47歳)がいらっしゃいました。息子さんを亡くされた母の千恵子さん(75歳)が事件後に亡き息子さんに手紙を書かれました。一生かかっても整理できない思いが滲み出たお手紙です。【9月5日付け神戸新聞朝刊社会面に掲載/抜粋】

貴方は突然いなくなった。私の前から消えてしまった。世の中にたくさん事件はあるけれど、他人事だったのに。まさか自分の身の上に起こるなんて。

遺体の損傷が激しいからと、顔を見て、触れて最後のお別れが出来なかった。それが淋しい悔しい。だから心が納得してくれない。

私は七十年以上も生きて、もう十分なのに。貴方は家庭を持ち、これから仕事もバリバリ出来たでしょうに。

変われるものなら変わりたかった。毎日遺影を見て手を合わせ、もういないんだ、もういないんだと言いきかせる。でもいなくなってからの方が貴方の事をずっと思っているかもしれない。

でも人間って不思議ですね。心にどんな悲しみがあろうと息をして食べて寝て、家事をして生活している。誰の為に? 自分の為に?

届くことのない手紙の一行一行や行間に、亡き息子さんへの母の思いが… 最後の3行…千恵子さんは、人間界を語ってらっしゃいます… 合掌 南無阿弥陀仏

コメント