カレンダー11月の言葉 11月17日

釋一心のひとこと

今月のことばは、広島県竹原市 宝泉寺 管 知尚師によるご法話でございます。

唯信 このこと一つという歩み

 宗祖親鸞聖人は、私の上にあらわれてくださる「南無阿弥陀仏」「なんまんだぶ」の一声に阿弥陀さまのお徳の全てをいただかれ、ご生涯を歩まれました。阿弥陀さまは、私の上に「任せよ、大丈夫」と名となり声となって、この人生をご一緒くださると。

 一昨年の12月、ご門徒さまの一周忌をお勤めいたしました。ご当家の代表は息子さんでしたが、息子さんとは言ってもお孫さんがいらっしゃる世代、隣には3歳の孫さんがお座りでした。法事の終盤ご法話に差しかかるころ、息子さんが「なんまんだぶ、なんまんだぶ」とお念仏を口にされると隣の孫さんの口からもおじいちゃんを真似るように「なんまんだぶ、なんまんだぶ」と聞こえてきました。息子さんは嬉しかったんだと思います。何度も何度もお孫さんに「もういっぺん言うてくれ。もういっぺん、なんまんだぶ、言うてくれ」とおっしゃる。息子さんの涙は笑顔の中にありました。

「なんまんだぶ」の一声に「任せよ、大丈夫」と言い切って下さる阿弥陀さまのまごころをいただき、このこと一つと歩まれたお念仏の先輩方は、ご自身だけに留まる事なく姿形まで私に残して下さいました。 私たちは「お聴聞」の場で、そのおいわれをお聞かせいただきます。

私たち人間を放っておけば、ご本尊の前で合掌するようになるかというと、なりはしません。ましてやこの口に「なんまんだぶ」とお念仏申すようになるか、なろうはずがない。今、私が手を合わせ「なんまんだぶ」とお念仏申しているという事実。ここには懐かしいお方が幼い私の掌をご本尊の前でぎゅっと合わさせて、この耳に「なんまんだぶ」と聞かせてくださった証でもあります。広島県竹原市 宝泉寺 管 知尚

有難いご法話でございます。3歳のお孫さん、気がついてないかもしれませんが、もうしっかりと阿弥陀さまに抱かれております。南無阿弥陀仏 合掌