カレンダー 12月のことば 12月11日

釋一心のひとこと

『おかげさまで』と年暮れる  愛媛県上島町 太平寺 深水健司布教使

 私たちは直接目にすることはできなくても人や物、いろんな関わりの中でお互いが支えられながら生かされています。それが「おかげ」であり、「おかげさま」と感謝をいたします。

 禅に「寒松一色 千年別なり」という言葉があります。一面真っ白だと思っていた雪景色の中に松の緑だけが鮮やかに映えて、春も夏も秋もそして冬も千年にわたって変わらずに立ち続けている。この言葉には決して変わらない芯の強さと仏教の真理が表われていると思います。私も「そうありたいな、強くありたいな」と思いますがそんな強さはありません。この一年も新型コロナウイルスで生活はガラリと変わり、阪神タイガースの勝敗に一喜一憂し、衰えていく身体に振り回されていました。その移り変わる私の毎日を、ともに歩んでくださるのが阿弥陀さまです。

 「寒松一色」は禅の言葉ですが、私はそこに阿弥陀さまを感じるのです。新たな旅立ちの春や夏真っ盛りの時、天高く馬肥ゆる秋。いつもそこにあったはずなのに気にもとめていなかった。でも凍えるような雪景色の中だからこそ気づくことができた鮮やかな松の緑。季節のように移り変わる人生でたった一つ変わらないもの。

 「あなたがどんな人生を送っていても、どんなふうにいのちを終えることがあっても、何があろうと離れはしない。浄土へ往き生まれさせ、仏にするぞ」と松の緑のようにずっと一緒にいて、ともに泣き笑いしてくださるのが「南無阿弥陀仏」の阿弥陀さまなのです。

 そんな「おかげさま」に抱かれ続けた一年が今年も暮れていきます。

愛媛県上島町 太平寺 深水 健司

おかげさま  大好きな言葉です。南無阿弥陀佛 合掌